音楽の楽譜と聞いて皆さん、どんな楽譜を思い浮かべますか?きっと、オタマジャクシみたいな記号が線の上に並んでいる「五線譜」を思い浮かべる方がほとんどではないでしょうか。音楽の授業でも、五線譜以外の楽譜で何かを演奏したり歌ったりしたことは、あまりないですよね。でも楽譜って五線譜だけではなくて、ギターソロなどを弾くときのコード譜とか、いくつか種類があります。その中でも今回はお琴の楽譜についてまとめてみましたので、これからお琴を始めてみたいなと思っている方は参考にしてみてくださいね。
お琴の楽譜ってどんなのを使っているの?
合唱やピアノのように洋楽系の音楽を歌ったり演奏したりするときは、五線譜を使いますよね。最初は場所と音名を覚えたり、補助線を数えたりと、慣れてパッとみて分かるようになるまではちょっと時間がかかります。でも、音型が形作られているので、メロディーを目で見て把握しやすいですし、楽譜に細かく指示が書かれていて、慣れてしまえばみやすい楽譜となっています。では、お琴の楽譜はどうなっているでしょうか。お箏の楽譜の特徴をまとめました。
1.数字と3つの漢字
お琴の楽譜は五線譜ではなく数字と漢字で記されています。漢数字の一から十、そして漢字の斗、為、巾です。そのまま絃の位置を指しています。お琴の絃は13本あって、自分から一番遠い方から順番に
一二三四五六七八九十斗為巾
となっています。お琴が中国から伝わり雅楽の楽器として取り入れられた頃は、絃の一つひとつに名称があって、一は仁、二は智、三は礼のように漢字で表記されていました。そして十番目までが漢数字に変わっても十一、十二、十三番目の絃は今でもその名前が残されているため漢字になっているんです。実質的に、十一番目を弾くのか、十と一を同時に弾くのか、紛らわしい時があって間違いを避けるためだと思われます。絃の番号がそのまま楽譜になっているので、たとえば七と書いてあったら七番目の絃を弾けばいいという、とても単純な楽譜なので一生懸命読み込まなくても大丈夫です。
2.奏法の指示はカタカナと記号
お琴は13本の絃を使って演奏しますが、足りない音は左手で絃を押して作ります。ひとつの絃で強く押して1音上げる「強押し」と、弱く押して半音上げる「弱押し」があります。また、主に右手のお爪をはめた指で演奏しますが、お琴は余韻をとても大切にしている楽器で、左手で色々余韻を変化させます。そういう左手の奏法はカタカナで表記されていて、たとえば強押しは絃を押すから「オ」、弱押しは強押しと区別するために「ヲ」と書かれています。余韻を揺らす、洋楽で言うところの「ビブラート」は「ゆりいろ」といい、絃を揺らすので「ユ」と書かれています。お爪の普段弾くのと反対側を使って弾く「すくい爪」は「ス」などいろいろな奏法がありますが、基本的に奏法の動作がカタカナで記されています。また、休符も1拍休むときは「○」、半拍休むときは「△」で書いてありますので、お休みということが一目瞭然です。効果音的な奏法が矢印で記されていたり、一度覚えたら、この記号なんだっけ?と忘れないですみます。
3.縦書き
五線譜は横書きで左から右に読んでいきますよね。お琴の楽譜は国語の教科書や本と一緒で、縦書きで書かれていて、右から左へと進んでいきます。電車の中で楽譜の確認をしているとよく、何の本読んでいるの?と聞かれるのですが、みなさんが慣れている読み方なので目が自然に動いてくれます。そして大体の楽譜が一小節を4つに分けた4分の4で書かれていて、表と裏の拍も分かりやすく区切られていています。楽器が初めての方でも、拍子が取りやすく音符の長さもパッとみてわかりやすくなっています。
まとめ
いかがでしたか?お琴の楽譜って意外と簡単だなと思いませんか?初めてお琴の楽譜を見た方でもすぐその場で、楽譜を見ながらお琴が弾けちゃいます。音楽の習い事をしてみたいけれど自分ができるか楽譜が読めるか不安という方、初めての楽器にお琴を選んでみたらいいかもしれませんね。また、一度辞めたりお休みしていたけれどまた始めたいという方にもお琴の楽譜は思い出しやすいようです。五線譜って離れてしまうとまたスラスラ読めるようになるまでちょっと時間がかかりますが、お琴の楽譜は見ればすぐ思い出して、ブランクを感じずに弾けるようになりますよ。実際に小さい頃に習っていて再開する方は多いです。初めての方も久しぶりの方も、お琴の楽譜の事を少しだけでも知って、一歩を踏み出すきっかけになれたら嬉しいです。
楽譜の見方に関連して、日本の音階やお琴の音階について、また別の機会にあげたいと思います。