朝起きてリビングの窓をあけると、いろいろな鳥の鳴き声やさえずりが聞こえる我が家ですが、今朝は、今年初のウグイスが鳴きました!「ホー、ホケキョ」どころか、「ケキョ」ですら言わず、「さーてと、今年初の発声練習でもしてみるか」みたいな感じで、ただ何かを口ずさんでいるだけだったのですが、それでもさすがウグイス!他の鳥とは比べ物にならない艶のある美声で、近所中に響き渡る見事な声量。普段鳥の鳴き声も聞いても、寝ていて興味を示さないうちのワンコたちも、澄んだ美しい声が聞こえた瞬間に、「今の鳴き声はなんだ?」と一斉に窓に駆け寄り、空を見上げていました。これからいっぱい練習して、あの素敵な鳴き声を聞かせてくれるんだなーと、今からとても楽しみです。
発声練習といえば、お箏を弾く人にとっても重要な練習の一つです。というのも実は、お箏には、歌のある曲が多いからです。つまり、歌を歌うことは、お音を習う人にとって絶対必要なことなんです。でも、初めて習う人のほとんどが、お箏は歌うんだということを知りません。なぜなら、お箏を聞く機会って和食屋さんやテレビなどのBGMがほとんどだと思うんですが、BGMはお話の邪魔にならないように流している音楽なので、言葉が入る歌の部分はカットして弾いているからなんです。ですから、習いに来て初めて歌があると知って、「聞いてないよー!」となる人が多いんです。カラオケ大好き!というような、歌うことが元々大好きな人もいますが、楽器をやる人ってそもそも言葉で表現するのが苦手だから、楽器に自分の思いを託そうという人も多いんですよね。
藝大に通っていた時、副科で好きな楽器を習えたのですが、おはやしを専攻していた同級生が、お箏は歌うから絶対嫌だ!って言っていました(^^;;音楽の専門家でも嫌な人がいるくらいなのです。普通に習い事としてお箏を選んだ方には結構ハードルが高いかもしれません。しかも弾きながら手と全然違うメロディを歌うわけですから、普通に弾くより難しいですよね。
ピアノやヴァイオリンなどの洋楽器は、習っていても歌うことはまずないと思います。楽器を習ったことがある方ですら、興味があるから和楽器やってみたいと思って始めても、歌があるとわかった時点で躊躇してしまうなんてことも。
歌詞にはいろいろな情景や想いが詰まっていて、それを表現できたらすごく楽しいのですが、それは歌が好きになってから初めてわかることで、最初は正直苦しいことの方が多いです。私は幸い歌うことは好きで、小中高と演劇部に所属していて声を出すことにも抵抗がなかったので、そこまで苦痛ではなかったのですが、それでもやっぱり、弾いている手と歌が全く違ってしかも半音同士ぶつかっていたりして、大変な時がたくさんあります。生徒さんの中にも「私は歌はやらなくていいです」とか、「歌は苦手なので手のものだけやりたいです」という方がいます。
もちろん歌のない曲しかやらないという先生や、歌のある曲も歌わずに手だけ教えるという先生もいます。ですが、大変なのもわかっている上で、私は歌のある曲も教えています。そして、「歌は嫌だ!」と言っていた生徒さんたちも「歌ってみようかな」となって、最終的には、「歌、嫌じゃなくなりました!」「前回手だけの曲だったので次は歌のある曲がいいです」というまでになっています。歌のある曲を、ウグイスみたいにいい声で朗々と歌えたら、本当に素敵ですし、お箏の世界も広がりますよ。お箏を習ったことがある方で歌が苦手だった方や、今から始めたいけど体験に行って話を聞いたら歌があるって言われてどうしようか悩んでる、という方、歌を好きになるコツを教えちゃいますよ。
歌えるコツについてブログでも書いていきたいと思いますのでお楽しみに。
今は感染対策の一環として、歌のある曲は対面のレッスンではやっていませんが、オンラインでは習えます。またみんなでマスクをしないで歌える日がきますように。