琴について

お箏って高価な楽器のイメージだけど、購入した方が良い?

関東もいよいよ梅雨入りしましたね。子供の頃は、お気に入りの長靴で水溜りに入ったり、窓から紫陽花の葉が雨で揺れるのを眺めたり、書斎でクラシックを聴きながら本を読んでいる父のそばで真似して本を読んだりと、雨の日も結構好きだったのですが、大人になるにつれて、「雨かあ〜」と思うようになっていました。でも最近また、雨もいいな〜と思えるようになってきたのは、出かける予定が減ったからでしょうか。雨の日は堂々とお家時間を楽しむのも良いですよね。そんな時のお供にお箏を!と思ってくださるのか、お琴屋さんによると、去年からお箏を習う方が増えているのでそうです。私の教室も、去年から生徒さんが増え始めています。

さて、新しくお箏を習い始めた方、楽器ってどうしていますか?教室や先生が貸してくれるところもありますよね。また、お琴屋さんでも貸してくれます。でも、ご自分の「Myお箏」が欲しい方もいらっしゃると思います。

今日は、お箏を習い始めた方が悩む、「楽器の購入」についてお話ししていきます。

 

自分の楽器っていつ購入するの?

これからお箏を習おうという方で、先に楽器を購入しましたという人は少ないような気がします。お家のどなたかが習っていたとか、以前習ったことがあってすでに楽器がお家にあるという場合を除いては、ほとんどの方が習うと決めてから楽器の購入を考えるのではないでしょうか。そこで楽器を購入するタイミングについてお話したいと思います。

1.お箏を習い始めた時

初めて触る楽器だからこそ、最初に購入した方がお家で練習できて楽器にも早く慣れますし、レッスンで習ったことをすぐ復習できますので、上達が早いです。でも最初に購入すると、どんな楽器が良いかとか、自分の好みの音なんかもまだわからないですよね。また、お箏教室を続けるかもわからないので、お箏が大好きで教室に通うのも楽しみというくらいでないと、もしかしたら宝の持ち腐れになってしまうかもしれません。最初に購入するのは勇気がいると思いますが、それでも、始めから持っていた方が上手になるスピードが早まって、楽しさが長く続くのは確実です。

2.1~2年経ってから

お箏を習い始めて1~2年経つと、基礎的な演奏方法や手ほどきの曲や簡単な曲が習得できています。お箏を弾くことにもだいぶ慣れて楽しくなってくる頃です。ご自分の中でも「お箏はこのまま続けられそう」と言う手応えが見えてくるし、曲が少しずつ長く難しくなってくるので、正直自分の楽器が欲しくなります。お琴教室やお琴屋さんの楽器をお借りした場合、大体1,2年でレンタルの期間が終わるので、このタイミングで自分のお箏を購入される方は多いように感じます。

3.自分の好みが定まってから

これはどういうことかと言いますと、お箏という楽器の性質が関わってきます。お箏は桐の木をくり抜いて裏に反響するような細工を施し、裏板を貼って作られる、とてもシンプルな楽器です。一本一本の木が持つそのままの自然な模様や音質が、楽器となった時に素直に現れます。ですので一面一面(お箏は「面(めん)」と数えます)全然違う模様をしていますし、全然違う音色をしています。お箏を習ってある程度年数が経つと、先生や他の方の楽器や演奏に触れる機会が多くなります。ご自身もレベルが上がっているので自分の好みの曲想もわかってくるし、音色も聞き分けられるようになっています。そうすると、「私は柔らかくて綺麗な曲調が好きだなー」とか「ガンガン弾き切ってダイナミックな音が出る方が好き!」「キラキラした高音が映えるお箏がいいな〜」と自分がどんな楽器を欲しいかが明確になってきますので、そのタイミングで自分が一番好きな模様や音のお箏を購入すると、ずっと楽器を愛せるのでますます楽しくなります。

最終的には欲しいなと思ったタイミングで良いとは思うのですが、いずれの場合も必ず先生に相談してくださいね。お箏は練習用でも数万円以上する高価な楽器ですので、よくわからないまま購入するのはオススメしません。先生は皆さんの好みを分かった上で楽器の目利きもできるので、色々相談してみたらきっとあなたにピッタリのお箏が見つかるはずです。

 

いくらくらいの楽器を購入すればいいの?

お箏を購入する時に、音色とともにとても悩むのが金額だと思います。ピンキリという言葉があるように、楽器の値段はそれこそあってないようなものだからです。大きく分けるとお箏には練習用の上甲と、本番用の刳り甲(くりこう)という種類の楽器がありますので、ご自分の予算や主にどういうシーンで弾くのかを考えて決めると良いと思います。

1.練習用

特に演奏会に出なくても良いし、他所で弾く機会もない、お家で一人で過ごす時間を充実させるためにお箏を楽しみたいです、という方には練習用で十分かと思います。外国の木材を使って大量生産されている楽器で、10万円くらいからあります。探せば楽器屋さんによっては5万円くらいのものもあるかもしれません。見た目や響き、音色はそれほど良くないかもしれませんが、お家で弾くには十分お箏の音を楽しめると思います。25~30万円の楽器ですと結構良い音色のお箏も見つけられると思います。

2.本番用

本番用と書きましたが、演奏会やコンサートで弾かなくても大丈夫です。お値段は大体30万円からで、本当に良いものですと100万円以上してきます。木目が詰まってくるので豊かな深い音となり、さらに共鳴しやすいように職人さんの技が至る所に施され、音色や響きにそのお箏の個性が出てきます。木の持つ自然な模様がしっかり出ますので、見た目も美しい物が多いです。好みの音がある方はこちらの楽器の方がいろいろ選べるので、おすすめです。

 

楽器の購入 まとめ

いかかでしたでしょうか。一般的に自分の実力より少し上のレベルの楽器を持った方が良いと言われていて、楽器に自分の実力を引き上げてもらうということは、実際にあります。また、最初に練習用を購入して、何年かしたら本番用の自分の好きな木目や音色のお琴を購入するというのも良いと思います。

いざ買うとなったら、今はネット販売で格安なお箏も売っていますが、お琴屋さんに行って実際に楽器を見て購入することを私はお薦めします。どちらにしてもお箏を購入する際には先生とお琴屋さんに相談してください。

私の教室では、お箏を買いたい!という方には、先にご予算を伺って、いつもお世話になっているお琴屋さんにあらかじめ何面か用意していただき、ご本人と一緒にお店に行って、全員が「これ!」と一致した楽器を購入して頂いています。楽器屋さんにいくと、小物も好きなものを選べるし、最初に必要なものは付けてくれますので、ネットで買うより良いと思います。大好きなお箏に出会えて、お箏がますます好きになりますように。

お箏は何でこんなに高価な楽器なのか、それはまた別の機会にお話ししたいと思います。

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